ベトナム進出を検討する企業が増える一方で、「雇用」が大きなハードルに
近年、ベトナムは製造業だけでなく、IT、ソフトウェア開発、営業、バックオフィス業務など幅広い分野で、日本企業の進出先として注目されています。若く優秀な人材が豊富で、人件費も比較的抑えられることから、事業拡大や新規市場開拓を目的としてベトナムへの進出を検討する企業が増えています。
しかし、多くの企業が最初に直面する課題が「現地でどのように人材を雇用するか」です。
一般的にベトナムで社員を採用するには、現地法人を設立し、労働契約の締結、給与計算、社会保険の加入、個人所得税の申告など、多くの法的手続きや労務管理が必要になります。特に初めて海外進出を行う企業にとっては、これらの対応が大きな負担となることも少なくありません。
そこで近年注目されているのがEOR(Employer of Record:雇用代行サービス)です。
EORを活用すれば、現地法人を設立することなく、ベトナムで合法的に社員を雇用し、事業をスタートすることが可能になります。
本記事では、ベトナムでEORを活用するメリットや活用シーン、現地法人設立との違いについて詳しく解説します。
EOR(Employer of Record)とは?
EORとは、企業に代わって現地法人が法的な雇用主となり、従業員を雇用するサービスです。
利用企業は、採用したい人材を選定し、その社員の日々の業務を管理します。一方で、EOR事業者は以下のような雇用に関する業務を担当します。
- 雇用契約の締結
- 給与計算
- 給与支払い
- 社会保険加入・手続き
- 個人所得税の申告・納税
- 労働法への対応
- 労務管理
- 退職時の手続き
つまり、企業は採用した社員の業務マネジメントに集中しながら、法務・人事・労務に関する煩雑な業務を専門会社へ委託できる仕組みです。
なぜ今、ベトナムでEORが注目されているのか
以前は海外進出と言えば、まず現地法人を設立することが一般的でした。
しかし近年では、
- まずは1~2名だけ採用したい
- 市場調査を兼ねて営業を始めたい
- 開発チームだけ先に立ち上げたい
- 現地法人設立前に事業性を検証したい
という企業が増えています。
このようなケースでは、法人設立にかかる時間やコストを考えると、EORの方が合理的な選択肢になる場合があります。
また、ベトナムでは労働法や社会保険制度が定期的に改正されるため、現地の制度を正確に理解し運用することが重要です。EORを利用することで、制度変更にも適切に対応しながら事業を進めることができます。
ベトナムでEORを活用する7つのメリット
① 現地法人を設立せずに採用できる
最大のメリットは、現地法人を設立しなくてもベトナムで人材を採用できることです。
通常、法人設立には各種許認可の取得や銀行口座の開設、税務登録など、多くの手続きが必要です。
EORを利用すれば、それらを行うことなく採用を開始できるため、進出までのスピードを大幅に短縮できます。
② 採用までのスピードが圧倒的に早い
市場の変化が早い現在では、「いつ採用できるか」が競争力を左右します。
EORを活用すれば、法人設立を待つ必要がないため、採用活動から入社までを短期間で進められます。
優秀なエンジニアや営業人材は競争率も高く、採用スピードが企業の成長に直結するケースも少なくありません。
③ 労務・給与・社会保険を専門家へ任せられる
ベトナムでは、
- 労働契約
- 社会保険
- 健康保険
- 失業保険
- 個人所得税
- 給与計算
など、多くの実務が発生します。
制度は毎年のように変更されることもあり、日本企業だけで対応するのは容易ではありません。
EORを利用することで、専門家がこれらの業務を代行し、法令遵守をサポートします。
④ コンプライアンスリスクを軽減できる
海外ビジネスでは、現地法令への対応が非常に重要です。
労働契約や社会保険、税務手続きを誤ると、行政指導や罰則につながる可能性があります。
EOR事業者は現地制度に基づいた運用を行うため、企業単独で対応するよりもリスクを抑えやすくなります。
⑤ 初期投資と固定費を抑えられる
法人設立には、
- 登記費用
- オフィス契約
- 会計・税務顧問
- 管理部門の構築
など、多くのコストが発生します。
一方、EORでは必要な人員分のみサービスを利用できるため、事業開始時の投資を抑えながら柔軟に事業をスタートできます。
⑥ 市場調査・テスト進出に最適
「まずは営業担当1名だけ配置したい」
「現地ニーズを調査したい」
という企業にもEORは適しています。
市場性が確認できた段階で法人設立へ移行することも可能であり、段階的な海外展開を実現できます。
⑦ 撤退・組織変更にも柔軟に対応できる
海外事業では、事業方針の変更や組織再編が発生することもあります。
EORを利用している場合は、法人清算などの複雑な手続きを伴わず、事業規模の調整を比較的柔軟に進められるケースがあります。
不確実性の高い新規市場への進出では、大きな安心材料となるでしょう。
EORが向いている企業とは?
ベトナムEORは、特に以下のような企業に適しています。
- ベトナムへ初めて進出する企業
- 現地法人設立前に事業を試したい企業
- まずは少人数で事業を開始したい企業
- ベトナム人エンジニアを採用したい企業
- 営業担当だけ配置したい企業
- バックオフィス業務をアウトソースしたい企業
一方で、数百名規模の大規模雇用や長期的に現地法人を中心とした事業運営を予定している企業では、法人設立の方が適している場合もあります。
現地法人設立とEORの違い
|
項目 |
EOR |
現地法人設立 |
|
採用開始まで |
短期間 |
設立手続き完了後 |
|
法人設立 |
不要 |
必要 |
|
労務管理 |
EORが対応 |
自社対応 |
|
社会保険・税務 |
EORが対応 |
自社対応 |
|
初期コスト |
比較的低い |
比較的高い |
|
少人数採用 |
◎ |
△ |
|
テスト進出 |
◎ |
△ |
どちらが適しているかは、事業規模や進出目的によって異なります。短期間で市場に参入したい場合や、少人数からスタートしたい場合にはEORが有力な選択肢となります。
ベトナムでEORサービスを選ぶ際のポイント
EOR事業者を選ぶ際には、料金だけでなく以下の点も確認しましょう。
- ベトナムの労働法・税務への対応力
- 社会保険や給与計算の実績
- 日本語でのサポート体制
- 契約内容や料金体系の透明性
- 緊急時の対応力
- 現地での運営実績
特に日本企業にとっては、日本語で相談できる窓口があるかどうかは、日々の運用において大きな安心材料となります。
JOBLINKSのEORサービス
JOBLINKSは、ベトナムにおける人材サービスとEORサービスを提供し、日本企業のベトナム進出・採用をサポートしています。
EORサービスでは、雇用契約の締結、給与計算、社会保険・税務対応、労務管理などを一括して支援し、企業が本来注力すべき事業運営に集中できる環境を提供しています。
また、日本語・英語・ベトナム語でのサポート体制を整えており、初めてベトナムへ進出する企業でも安心して利用いただけます。
「まずは1名採用したい」「現地法人設立前に事業を始めたい」といったご相談にも柔軟に対応しています。
まとめ
ベトナム市場への進出を成功させるためには、スピードとコンプライアンスの両立が重要です。
EORを活用することで、現地法人を設立せずに人材を採用でき、給与計算や社会保険、税務などの煩雑な業務を専門家へ任せることができます。その結果、企業は事業開発や営業活動といった本来注力すべき業務に集中できるようになります。
ベトナムでの事業展開を検討している企業や、まずは少人数で市場参入を試したい企業にとって、EORは有効な選択肢の一つです。
JOBLINKSでは、日本企業のベトナム進出を支援するEORサービスを提供しています。ベトナムでの採用や雇用に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。