はじめに

ベトナムは製造業だけでなくIT、設計開発、営業、サービス業など幅広い分野で日本企業の進出先として高い人気を集めています。一方、海外進出では営業戦略だけではなく、人事・労務制度への理解が成功の鍵となります。ベトナムでは労働法や社会保険制度、税制が日本とは異なるため、制度を理解しないまま採用を進めると、労務トラブルや行政指導につながる可能性があります。本記事では、ベトナム進出前に押さえるべき実務上のポイントを解説します。

雇用契約で押さえるべきポイント

ベトナムでは労働契約書に職務内容、勤務地、給与、試用期間、勤務時間、休日、福利厚生などを明記する必要があります。契約内容はベトナム労働法に適合していなければならず、実際の運用と契約内容が一致していることも重要です。試用期間中の条件や契約更新、退職条件についても事前に整理しておくことでトラブルを防止できます。

労働時間・残業・休日制度

ベトナムの法定労働時間は原則として18時間、週48時間以内です。実際には週4044時間勤務を採用する日系企業も多く、採用競争力向上のため勤務条件を充実させる企業も増えています。残業は従業員の同意を前提として実施し、法律で定められた上限時間を遵守する必要があります。また、平日・休日・祝日・深夜では残業割増率が異なるため、給与計算では勤務区分を正確に管理することが重要です。年次有給休暇や祝祭日についても法令に基づいた付与・管理が求められ、勤怠管理体制の整備は労務リスク低減につながります。

給与・最低賃金・賞与

ベトナムでは地域区分ごとに最低賃金が定められています。企業は最低賃金以上の給与を支払うだけでなく、市場水準や人材確保を踏まえた報酬制度を設計する必要があります。基本給だけではなく、役職手当、通勤手当、インセンティブなど各種手当の設計も重要です。また、法律上テト賞与(13か月目給与)の支給義務はありませんが、多くの企業が旧正月前に支給しており、人材定着や採用競争力向上に大きな役割を果たしています。

社会保険・健康保険・失業保険

ベトナムでは一定条件を満たす従業員について、社会保険(BHXH)、健康保険(BHYT)、失業保険(BHTN)への加入義務があります。保険料は企業と従業員双方が負担し、給与を基準に算定されます。近年は外国人労働者への適用範囲も拡大しており、制度改正への継続的な対応が不可欠です。加入漏れや保険料計算ミスは追徴や行政指導の対象となるため、正確な給与計算と社会保険手続きが重要です。

個人所得税(PIT)の基礎知識

給与所得には個人所得税(PIT)が課税されます。居住者と非居住者では課税方法や税率が異なり、日本人駐在員や外国人社員では税務上の居住判定が重要になります。扶養控除や課税所得の考え方、日本とは異なる年末確定申告制度も理解しておく必要があります。給与計算と税務申告を連携させることで税務リスクを抑えられます。

外国人雇用(Work PermitTRC)の注意点

外国人を雇用する場合、多くのケースでWork Permit(労働許可証)の取得が必要です。長期滞在ではTRC(一時滞在証)の取得によりビザ更新負担を軽減できる場合があります。職種や学歴、実務経験によって取得条件や必要書類は異なり、一部にはWork Permit免除制度もあります。採用から就業開始まで一定期間を要するため、採用計画段階からスケジュールを逆算して準備することが重要です。

ベトナム人採用で重視されるポイント

優秀な人材を確保するには給与だけでは十分ではありません。キャリアパス、教育制度、評価制度、柔軟な働き方、企業文化なども重視されます。採用スピードや候補者とのコミュニケーション品質も採用成功率を左右します。

人事・労務で起こりやすいトラブル

雇用契約の不備、残業代計算ミス、社会保険未加入、個人所得税の誤計算などは代表的なトラブルです。制度変更への対応遅れもリスクとなるため、現地専門家やEORサービスの活用が有効です。

EORを活用するメリット

現地法人を設立していない企業や少人数採用ではEORが有効です。雇用契約、給与計算、社会保険、税務、労務管理を一括して委託でき、企業は採用活動や事業運営に集中できます。

JOBLINKSのサポート

JOBLINKSではEOR、人材紹介、給与計算、労務管理までワンストップで支援しています。日本語・英語・ベトナム語で対応し、進出前の相談から採用後の運用まで継続的にサポートします。

まとめ

ベトナム進出では、人事・労務制度への理解が事業成功の基盤となります。法令を遵守した採用・雇用体制を整え、必要に応じて専門家を活用することで、コンプライアンスを確保しながら事業成長を実現できます。